VISION 三晃ビルオーナーインタビュー

株式会社ジーベックリアルプロパティ

代表取締役

中村文彦

心地いいオフィスから、
世の中にインスピレーションの連鎖を。

オフィス空間を一新して
入居率を95%に向上

 コンクリート打ちっぱなしの天井と、掘りごたつをしつらえた和モダンな座卓が調和する広いミーティングルーム。大きな窓の外には、手前に屋上庭園、その奥に本町のオフィスビル群が広がる。この最上階をはじめ、全9フロアにそれぞれ異なった趣のデザイナーズオフィス空間を備える「三晃ビル|大阪本町」。

数年前までは空間も入居率もごく平凡なオフィスビルだったが、2008年にリーマン・ショックが起こると、入居率が60%に低下。そんな厳しい状況のなか、同ビルの賃貸経営を始めることになったのが、株式会社ジーベックの中村文彦氏だ。
「三晃ビルの入居率の低さを回復させようとしたとき、ネックになったのが当時で築30年ほどだった建物の古さでした。古いだけのオフィスビルでは、値下げをしても入居が決まらない。ならば空間に付加価値を、と少しずつリノベーションを始めたんです」
 そんなとき、ある設計事務所が自ら空間デザインし入居していたフロアに空室が出たため、賃貸に出したところ、空室がすぐに埋まった。デザインされたオフィスが求められている――そう確信した中村氏は、それだけで満足せずにさらなる攻めに出た。
「空間デザイナーの方にお願いをして、別のワンフロアを丸ごと改装してみたところ、さらに好評を得たんです。じゃあ次はもっと面白いことがしたくなり、建築家と手を組んで2階に小屋風の応接室をつくったり。9階に働く人がくつろげる空間を作ったりしました」

 その結果、ビル全体の入居率は95%にまで向上。リノベーションしたフロアは、空室が出ても、すぐに入居が決まるという。

インスピレーションを与える空間

 古いオフィスビルをリノベーションし、働く人が心地よく感じるオフィス空間へ生まれ変わらせる。三晃ビルで成功したこの事例を今後ほかのビルでも実践していく予定だが、中村氏の目的は事業拡大だけではない。
「オフィス空間というのは、そこで働く人たちにとってとても重要なものです。私が提供したいのはただ単にお洒落な空間ではなく、あくまで居心地が良く、そこにいる人たちが気づきやインスピレーションを得られるような空間です。お客様に価値ある空間のなかで仕事をしてもらうことで、彼らが新しい付加価値を生み出し、少しずつ社会を変えていくようなひらめきの連鎖が起こったら 最高ですよね。あらゆる業種のお客様に最高の空間を提供できるよう、私自身、オーナーとしてもっと成長しなければと感じています」

取材・文/岸良ゆか